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3. 根本はやはりお客様の視点 それをどれだけ満足させることができるか
飯田 私は特に企業法の知識がないといけないと感じています。役員変更の時などは必ずアドバイスしなければいけませんし。今、事務所を記帳代行型から経営指導型に移しているのですが、それに関しても、お客様のところが育つまでは、うちから出向者を入れてある程度人材育成し、それから渡すということになります。税理士事務所といっても記帳代行では食べていけないので、そういう経営指導を行っています。必ず、経理は何のためにあるのか、常に自分の目で数字を確認しなさい、と。数字は結果ではあるけれどもプロセスでもあります。だから自分のところで数字を確認できるように、無理にでも出向者を入れて、数字を確認するよう指導をし、だんだんそれが出来てくると、今度はその上の段階に至る。これから更にどうしていったら良いのという指導に取り組むことが必要になってきます。
内村 ステップですよね。
飯田 ステップですね。自分の事務所の人材を育てるということも必要なんですが、お客様を育てる事も必要ですね。
山本 付加価値の高い税理士でないと生き残っていけないというのがひしひしと伝わってきますね。
内村 自分自身に対してもそうですが、私は職員に対しても「4つの力」、つまり分析力、コンサル力、プレゼン力、アピール力、この4つをなるべく極めなさい、勉強しなさいと言っています。その4つがある程度バランスよく身につきますと、顧問先のニーズをある程度は満足させる事が出来ます。そしてその4つの力を高めるためには、LECのような会計大学院に、現役の税理士さんもこれから税理士を目指す方も、ぜひ通われた方が良いのではないかなと思います。これは私自身の実感からです。お客様は、相手が会計士だから税理士だからということではなく全てプロとみなしますから。あの人は税理士だから企業法を知らなくていいんだとか、あの人は監査論知らなくていいとか、そんなこと誰も言わないですよ。
山本 なるほど。
内村 ですからやっぱり、これから税理士を目指す方、まして事務所を持たれて職員の方がいらっしゃる方の場合は尚更ですよね。根本はやはりお客様の視点です。そのお客様の視点をどれだけ満足させることができるか。そのためにはやはり会計大学院で広い知識を学習して、お客様に還元する。そうすると寄せる汐波じゃありませんけど、結局は報酬として自分の方に返ってきますから。多くの税理士が勉強をすれば最終的には我々同業者の実力は全体的に上がっていきます。
丸茂 現代は正直コンピュータが簿記をやってくれる時代ですので、出てきた数字の源泉を理解しながら、妥当性と真偽性を瞬時に見抜く力と、それをふまえた上で経営アドバイスをするという付加価値を会計事務所が提供するんだろうな、と思います。
若杉 今までは財務諸表などを作ることばかり教えていたんですね。それをどう使うかとか、経営にどう活かすかとか、そういう教育はわりとおろそかにしたんですよ。
内村 分析ですよね。
若杉 そうなんですよ。
内村 財務分析論の授業で扱った、東芝や上場会社の決算書・有価証券報告書を見ての分析なんかは、相当私には新鮮味がありました。あれはご存知のとおり、税理士試験の簿記論・財務諸表論の勉強には全くないものですから。で、即、実務で使えるものです。
丸茂 キャッシュフローの期間比較が先生から送られてきましたよね。
内村 ああ!ありました!
丸茂 いまだに使っています。
内村 あれは本当に良かったですよ。間接法・直説法の分かりやすいのをいただいて、私はあの授業を受けて直説法を理解できました。
若杉 恐らく、社会的に税理士に対して要請するものが変わってきているんですね。税理士としての職業を維持発展させていくためには、今までの申告だとか記帳代行に留まらず、もっといろんな付加価値を高める努力をしなくてはいけないんですね。
内村 やはりお客様が何を求めているか、結局は業績アップですよね。もう一つはファイナンス。銀行からの資金の調達。もう自ずから、さっき若杉先生がおっしゃった様な方向にもっていかないと、結局淘汰されますよね。間違いなく。
若杉 今の時代、ファイナンスが分からないと会計も分からないですよ。
内村 そうですね。ですからこの大学院に来る前には、投資理論とか企業財務論、そんな言葉も知らなかったです。極端に言えば、先生、私はポートフォリオも知らなかったんですから。
一同 (笑)
飯田 それと現実的にはM&Aが多いので、それにいかに対応していくかということもあります。もちろん株を動かすとなると税金もつきものですから。会社法を勉強したことで、例えば、議決権のない株式、配当優先株式にして株の評価を下げるということも学びました。実際そういう手法を使ってどんどん株を動かしていって、配当優先株をまた普通株に戻して議決権を取らせるとか。そういうアドバイスも水面下でやっていかないと。
内村 企業法とか監査論、経営学とか統計学など、それをある程度、プロにならなくても、その基礎的なことだけでも理解しておかないとお客さんのニーズに応えられないです。昔、諸井先生がおっしゃったみたいに、「こういうのを知らなかったらドキっとするだろう」、と。その「ドキっ」がしょっちゅうですよ。やっぱりお客様の方の変化が早いですから。どうしても今、飯田さんがおっしゃったみたいな形でやっていかないと本当にニーズに応えられないですよ。