修了生の声
隅内道三さん

プロフィール

隅内道三さん
  • 税理士
  • 株式会社合同会計代表取締役社長

税理士までの道のり

  • 1971年12月 税理士試験簿記論・財務諸表論 合格
  • 1972年3月 村田簿記学校卒業
  • 1973年10月 会計専門の計算センター就職
  • 1979年4月 株式会社合同会計に就職
  • 1982年12月 税理士試験相続税法 合格
  • 2000年3月 株式会社合同会計代表取締役社長就任
  • 2015年4月 LEC会計大学院入学
  • 2017年3月 LEC会計大学院修了
  • 2017年10月 税理士試験税法2科目免除認定
  • 2018年2月 税理士登録

実務一筋30年 税理士資格取得への再挑戦

私がまだ中学生の頃、日本に税理士制度が生まれました。その頃に「税理士っていい仕事らしいわよ」と母に囁かれたんです。そのことがずっと頭にあって、高校は商業科に進みその後、簿記学校で日商簿記1級に合格、簿記論と財務諸表論にも一発で合格しました。

今の事務所に入って3年ほど経った頃、税理士試験の受験を再開したのですが、会計事務所に勤めていると、試験の勉強がなかなかできないんですよね。それでも四苦八苦しながら相続税法に合格しました。その後はとにかく実務が面白くて、所長代理のような立場でやらせてもらったこともあり、税理士試験の受験は諦めて、30年間実務一筋でやってきました。思いの中では資格取得は諦めていたのですが、やはり昔の原点を考えると、取得できるのであればとっておきたい、という願望はありました。ただ年齢も年齢ですし、若い人と受験で競争してもまず難しいであろうと。これまでの実務経験を活かして修士論文に挑んでみようかな、と閃いてLEC会計大学院への入学を決めました。

見えないゴールに向かって地道に進んだ修士論文作成

修士論文の作成は大変でしたよ。ただ一昔前だったらもっと大変だったでしょうね。とにかく資料収集についてはインターネットをフル活用しました。仕事の区切りがついた18:30か19:00くらいから夜中まで、とにかく資料集めに集中していた時期がありました。もちろん国会図書館の資料も検索して郵送で入手しました。関連書籍も購入し様々読みましたが、でも圧倒的にインターネットでの資料収集に助けられました。

テーマの構想としてはいくつかあったのですが、先生方といろいろお話する中で、法人税、特に役員給与についての話になり、中小企業の経営者が利益に連動した賞与を受け取れないことについては昔からおかしいのではないかと思っていたものですから、即、それをテーマにしようと決断しました。
そこからが長い道のりで、1年近く資料集めに費やすことになってしまいまして・・・。
商法の時代から伝統的に役員賞与は認めないという考えが定着していますので、どんな解説本を読み漁っても私の疑問に応える解答がないんですよね。唯一あったのが平成18年度の税制改正で、大企業に限った話ではありますが、利益連動給与を認める、と。同じ税法で、企業の規模で差があるのはおかしいため、どこかに認めた理由があるだろう、というところから論文の展開が始まりました。スタート時点はゴールが全く見えなかったというのが正直な話です。

様々な気づきを得た大学院での学び ゼミの仲間との貴重な交流

平日夜の授業は必ず2科目履修しました。ロータリークラブの活動もしていまして、その定例会が毎週火曜の昼間にあります。それも含めて事前に予定を組んでしまうんですね。意識的にやろうと思えば、時間は捻出できるものです。

授業の中で特に印象に残っているのは経済学です。非常に難しかった。難しかったのですが、なるほど経済学というのはこういうものか、という気づきがありました。経済学を学ぶのは初めてだったのですが、経済学の考え方は非常に合理性があって、時間があればもっともっと勉強してみたいなと思いましたね。また実務において、我々が食い足りないなと思っていた管理会計も大学院で学んだことをきっかけに興味が湧きました。もっと学んでみたいなと思いますね。実務にも活かしていけると思います。
そして何よりも実務の中で「税法の考え方」を常に念頭に置くようになりました。「租税法律主義」をいかに実務の中で我々自身が意識できるか、という点は非常に大切だと感じています。どうしても実務は通達から勉強していくんですね。通達から逸脱しないところで実務は基本的に決着するものですから。でも本当はそうではなくて「法律」なんですよね。この点は非常に大切だなと思いました。実務の中で税法を扱う立場から法律主義を意識する、LEC会計大学院で学んでなお一層その気持ちが強くなりました。

修士論文でのゼミの仲間は、非常に年齢が若いですが、皆真っ直ぐで考え方が前向きで明るいんです。そんな仲間に恵まれて本当に良かったと思います。毎週、ゼミで集まるのが楽しみでした。論文の進捗の話などよりもむしろ実務の話をすることが多かったです。若い人と2年間、一緒に勉強できて、フレンドリーにお付き合いいただき貴重な体験でした。もちろんうちの社にも若い職員はいますが、ああいう関係には決してなりませんから。特別な関係です。

企業は社会と共にある これからも貢献していきたい

これからは「承継」の問題が社会的にも大きく問題になってくるでしょう。中小企業の場合には後継者がいないという例もあり、それを我々も傍観するわけにはいかない時代に入っています。放っておけばクライアントが自然減少してしまう、それもかなりのスピードで。法人の承継、個人の財産の承継も深刻な問題です。その中で、お客様に対し最適な提案ができるようにこれから一層パワーをつけていきたいと考えています。

弊社の創業者は長くロータリークラブで活動し、企業というのは社会と共にあり、事業そのものは社会からやらせてもらっているという発想があります。ですから、利益の追求は最終目標ではなく、社会に価値還元をする、これが事業の最終目標であると。そのために適正な利益が必要、という発想が社風の中にDNAとして残っています。
お客様のための交流会や勉強会、一般の地元の方に広く活用いただける土曜相続教室や無料法律相談、日本政策金融公庫と共同しての一日公庫など、これからも様々な形で貢献していきたいですね。

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